委員長ご挨拶

R054カーボンニュートラル実現のための耐熱材料委員会は、昭和32年に設立され令和4年度をもって解散した耐熱金属材料第123委員会の後継委員会として、令和5年4月に発足いたしました。

近年は、地球温暖化への対応として脱炭素、カーボン・ニュートラルへの挑戦が世界的に取り組まれ、さまざまなエネルギー源に向けた技術革新と一層の高効率化が喫緊の課題となっております。
こういった状況の中で、耐熱材料の役割はますます重要度を増していることは、会員の皆様お一人お一人が肌で感じていらっしゃるところと存じます。
一方、グローバル・ネットワークの発達と共にデジタルトランスフォーメーションが巻き起こり、耐熱材料に関するデータのデジタル化とプラットフォーム化、そしてその活用に関する検討が積極的に推進されています。
しかし耐熱材料の研究者、技術者である私達は、一様にその困難さを直感していることと想像します。なぜならば、耐熱性の起源である原子・分子の振る舞い、プラントにそびえる巨大な部品の作り込み、常に拡散現象と化学反応を伴う高温場、条件によって10万時間を超える時間軸、これらをまとめてデジタルトランスフォーメーションというテクノロジーに落とし込むには、道のりが険しく、多岐にわたる選択肢を依然試行錯誤で乗り越えていかなければならないからです。

こういった研究環境や科学技術ツールの大変革期にある今こそ、縦横の連携を強め、叡智を集めて臨むことが肝要であると考えます。R054カーボンニュートラル実現のための耐熱材料委員会で醸成される科学技術を次世代に伝えていくためにも、会員の皆様の一層のご理解とご協力をお願いする次第です。
今後、ご意見・ご要望等を取り入れながら、本ホームページを会員の皆様の連携ツールとしてご活用いただけるよう工夫をしてまいりたいと存じます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

委員長 吉見享祐
（東北大学大学院工学研究科教授）